SEOプロジェクトの進め方
前回の記事では、SEOの概要とプランニングについて書きました。
今回の記事では、商談から発注を受けたあとにどうやってSEOプロジェクトを進めていくかを解説します。
企業からSEOについての相談を受けて商談を行うとき、主に以下の話をすると思います。
- SEOとは
- 施策の効果はいつ現れるか
- プロジェクトマネジメント
この3つの説明のうち、「SEOとは何か」に多くの時間を使ってしまうことは多いのではないでしょうか。そしてSEOについて丁寧に説明していると、他の議題に使える時間も限られてしまい、商談は長かったのにクライアント様のために行う施策の話があまりできなかった、という状況になりがちです。
しかし、この「SEOとは何か」については、事前にお客様にこの記事に目を通してもらったりして短縮して、
- お客様の場合には何をするのが有効か
- どんな施策で問題を解決するか
- どのようにプロジェクトを進行するか
という話し合いをした方が、お客様にとっても有益な時間になりますし、弊社も時間を有効に使えます。
そして、お互いが「SEOプロジェクトは大体こんな進み方をする」と知っていれば、よりお客様のためのお話をする時間を作れるはずです。
そこで、今回は「SEOとは何か」と併せて知っておきたい「SEOプロジェクトの流れ」について解説します。
プロジェクトの流れ
SEOプロジェクトは、お問い合わせが来た段階も含めると、およそ次のステップで進んでいきます。
- お問い合わせ、商談
- 施策開始
- 施策実施
- 定例MTG
なぜお問い合わせから商談までを最初のステップに入れたかというと、お客様のヒアリングからすでにプロジェクトが始まっているからです。
実際に動くのは発注後ですが、お客様に合わせたプロジェクト内容は商談で得たヒアリングの内容をもとに決まります。弊社としてはこのヒアリングに多くの時間を使いたいので、お客様にはお問い合わせをいただく前にSEOプロジェクトの全体像を把握していていただけますと、よりよい提案が受けられると思います。
ご相談はこちらお問い合わせ、商談
お問い合わせ・商談から提案までの間には、次のような段階があります。
- ヒアリング
- サイト分析
- 提案
通常は営業をかけたセールス担当が訪問して提案を行い、実際の施策はコンサルが行うことが多いかと思います。弊社では、提案フェーズからデザイナー、コーダー、コンサル担当が付き、サイト分析と提案を行います。
そして、それぞれの段階の具体的な内容は次のようになります。
ヒアリング
お問い合わせいただいたお客様には、まずヒアリングをして目標や問題を明確にしていきます。この商談はオフィスへのご訪問で直接お会いすることが多いですが、距離が遠い場合やお時間の調節が難しい場合は、SkypeやZoomといったツールでオンライン会議を行うことも一般的になっています。
商談の場がオフィス訪問でもオンライン会議でも、ヒアリングすることは同じで以下のような内容です。
- お客様の事業概要
- お問い合わせの経緯
- 達成したい目的・目標
- 現在の課題
- 今まで行った取り組み
- 予算
- スケジュール
これらを1時間(以内)で話し合うことが多いです。
このヒアリングでお客様が「思っていたのと違った」「今ではない」と判断されたら、弊社は提案をせずに商談は終了となります。
ちなみに、SEOプロジェクトにも注意点はあります。それは、医療や健康、金融に関わるサイトは、信頼性や権威性が大きく関わる特殊な分野なので、他のサイトとは全く異なる対応をする必要があるという点です。
もしこういった事業で問題を抱えていて、SEOプロジェクトに興味のある方は、お問い合わせをする際に詳細をいただければ弊社にてご提案できる内容をおまとめしてお伺いいたします。
ご相談はこちらサイト分析
ヒアリングを行った上で、お客様にとってSEOプロジェクトの需要があり、弊社としても支援ができる事業だと判断した場合は、具体的な提案に入ります。
よりお客様に合ったご提案をするために、弊社からは以下の分析から最適な提案を絞り込みます。
サイトの現状(検索順位や流入状況)
コンテンツの質・量
技術的な課題
このとき、より詳細な現状を把握するためにNDAを締結の上、GoogleAnalytics(GA)やSearch Console(サチコ)のアカウント共有を依頼することもあります。
提案
そして、ヒアリングと分析からお客様の状況に合わせて導き出した改善策を、資料にまとめて実際に提案を行います。
提案は次の流れと内容で行います。
- 前提の整理(対象サイト、KGI、KPI)
- 提案コンセプト
- サイトの現状
- 競合分析
- 課題の洗い出し
- 解決策と方向性の提示
- プロジェクト体制の確認
- スケジュール
- お見積もり
施策開始
お客様が提案内容に納得いただき、発注いただけましたら、次の段階はキックオフミーティングです。
キックオフMTGで話し合う内容は主に3つです。
- 施策の方向性の認識すり合わせ
- プロジェクト体制の確認
- 技術的リソースの確認
このMTGから実際にキックオフ(プロジェクト開始)するまでには、通常分析のために1ヶ月ほどかかります。
SEOコンサルの契約は一般的に半年〜1年ですが、弊社では最初の1ヶ月をサイト分析とプロジェクト構築に割きます。SEOは徹底した分析と設計が肝心なので、この1ヶ月が最も重要な期間なのです。
キックオフMTGで確認することをさらに細かく分解すると、
- プロジェクトの目的と目標
- サイトの現状と課題
- 施策の方向性
- 具体的な施策内容
- スケジュール
といった内容になります。ここで提案時の内容を、よりお客様の現状と弊社側のリソースに合わせた具体案に仕上げていきます。
先ほどSEOは分析が肝心と書きましたが、サイト分析はすればするほど課題や改善策が出てくるので、キックオフで改めて現状と課題を深掘りすることがより良い施策につながります。
また、GAやサチコの共有も発注された後に共有されることがほとんどですので、この段階では分析できることも増えている場合が多いのです。
ご相談はこちら施策開始
キックオフを経て実際にプロジェクトを開始した後は、以下のサイクルで進行していきます。
- サイト分析
- 具体的な施策の提案
- 実装
- 実装確認
この4つを約1ヶ月サイクルで回し続けます。区切りとなる1ヶ月が終わるごとに定例MTGを開き、改善提案書を提出します。そしてまた次の定例MTGを行う1ヶ月後までに、その改善案の実装・確認を行います。
施策内容は、3つの軸をもとに作られます。
- テクニカル(技術的な改善)
- コンテンツ
- 外部評価の獲得
カテゴリ | テクニカル(技術的な改善) | コンテンツ | 外部評価の獲得 |
---|---|---|---|
対象 | Googleのクローラー | ユーザー | クローラー・ユーザー |
内容 | サイト構造の改善 | 有益な情報の提供 | サイトの信頼性を高める |
これらの中から、最初はなるべく「実装の工数が少なく、しかも効果が出やすい施策」から着手していきます。
SEOは工数の割に効果が出るのが遅く、3ヶ月は待たなくては結果を判断しにくいので、先にできることを初期段階で済ませておく方が効率的です。
反対に最初の施策が遅くなると効果が現れるのも遅くなるので、細々した改善から検証していくのが基本的な順序となります。
ご相談はこちら定例MTG
そして1ヶ月経ったら、定例MTGで施策の現状と方向性の確認を行います。
- サイトの現状確認(アクセスや施策の実装状況など)
- 施策の方向性の確認(あるべきサイトの姿に近づいているか)
- 過去に実装した施策の効果検証
- その他知見共有(Googleのアップデートやアルゴリズムの動向など)
提案の際にシミュレーションを出していても、SEOはなかなかシミュレーション通りに進むものではありません。そのため、施策の効果や環境要因も加味して随時予測の修正を行う必要があります。加えて、プロジェクトを進めていく中で新たに課題が見つかることも多々あります。こういった物事に柔軟に対応できるかどうかは、SEOプロジェクトに当たって重要です。
また、予測修正を繰り返すうちにコンサル(要件定義)とクライアント(実装)の認識がズレていくと、プロジェクトが失敗しやすくなるので、その面でも定期的な振り返りと認識のすり合わせは非常に重要です。
まとめ
以上の内容が、SEOプロジェクトを行う際の全体像です。おさらいすると、
- お問い合わせ、商談
ヒアリング
サイト分析
提案 - 施策開始
- 施策実施
- 定例MTG
という流れでした。
SEOプロジェクトに関心はあるけれども、実際に何をしなければならないのか、開始した後どう進むのかがわからず見送っていたお客様も多いかと思います。でも全体像がわかっていると、相談のしやすさやお打ち合わせの充実度も大きく変わってきます。
今回の記事がSEOプロジェクト着手の後押しになれば幸いです。